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【千葉】

<ヒーロー>父にささげる本塁打 福田将儀選手(2年)

2009年3月27日

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 球場を覆う地鳴りのような歓声で、打球が左翼席に飛び込んだと確信した。3−4と逆転された直後の八回裏一死、4球目の直球にバットが自然と反応した。同点の公式戦初本塁打。最終回のサヨナラ劇を呼び込むのろしをあげ、「父のためにも活躍したかった。最高の気分です」。

 父政明さん(44)は習志野の野球部OB。チームは一九八〇年夏に甲子園に出場したが、一年生だった政明さんはアルプス席にいた。「甲子園で活躍したかった。今でも夢見ますよ」と政明さん。破れた夢を託した“後輩”の一撃に政明さんは「夢舞台でまさか本塁打とは」と感極まった。

 甲子園での活躍だけが目標ならば、スカウトされた東京の私立の強豪へ進学する道もあった。習志野入りを決意したきっかけは、やはり父への思いから。「父はひざの故障で高校3年間現役を続けられなかった。すごく悔しかったはず。代わりに自分が同じ習志野で3年間野球を続けてやると思った」

 「後悔だけはするな」。習志野で野球をやると決めた時に寡黙な父から送られた激励の言葉。言葉通りの迷いのない一振りが、チームと父子に最高の結果をもたらした。 (武田雄介)

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